ステンレス鋼とは・・・
ステンレスとは、鉄を主成分としたクロムと鉄(鉄基クロム合金)、及びクロムとニッケルと鉄の合金(鉄基ニッケルクロム合金)です。ステンレス鋼(stainles ssteel)は、stain( さび )にlessをつけたもので《 さびにくい 》という意味です。
一般的に使われるステンレス鋼は、成分から分けると3種類に分類することができます。
@13クロムステンレス(SUS410)
A18クロムステンレス(SUS430)
B18-8ステンレス(SUS304)
@・Aは合金としてのクロムの含まれているパーセントを表し、Bは18%のクロムと8%のニッケルが含まれていることを表しています。
また、組織構造から分類すると@はマルテンサイト系、Aはフェライト系、Bはオーステナイト系で@ABの順で錆びにくいのです。ところが、金属としての強度を比較した場合は逆の順序になり、見ただけでの区別はつきません。区別方法として、@Aは磁石につきますが、Bはつかない、これが簡単な区別方法です。(例外もあります。)
しかし、現在のステンレス鋼は焼き入れのできるもの、快削性をあたえたもの、耐蝕性、耐熱性を大きくしたもの、溶接性をよくしたもの・・・と、簡単な分類だけでは処理できないほど、使用目的に合わせた種類が企画化されています。これら企画化されたものは全てJIS表示され、現在はアメリカ規格に合わせて3桁の数字で表わされ、その数字で種類の性質がわかるようになっています。
ステンレス鋼の定義
ステンレス鋼(Stainless Steel)とは、Feをベースに12%以上のCrを含む合金鋼をいう。
ステンレス鋼の品種
ステンレス鋼の品種には、鋼板、鋼帯、鋼管、鋼線、形鋼、平鋼、鋳鋼、クラッドなど各々熱間、冷間があり、大半JISにて化学的成分、機械的性質、寸法許容差が規定されている。
ステンレス鋼の呼称
JIS規格はSUS○○○を使用しますが、メーカーによって自社独自の記号を用いる。
<主な規格として>| JIS | 日本工業規格 |
| ASTM | アメリカ材料試験協会 |
| BS | 英国規格協会 |
| DIN | ドイツ規格協会 |
| NF | フランス国家規格 |
※SUSとは、Stainless(ステンレス) Use(特殊用途) Steel(鋼) の略。
ステンレス鋼の組成上の分類(3大分類)
| 成分分類 | 組成分類 | 磁性 | 耐食性 | 強度 | 代表鋼種 |
|---|---|---|---|---|---|
| 13Cr | マルテンサイト系 | あり | 小 | 熱処理によって大 | 403 410 420 |
| 18Cr | フェライト系 | あり | 中 | 小 | 405 430 434 |
| 18Cr-8Ni | オーステナイト系 | なし | 大 | 小 | 301 303 304 316 XM-7 |
ステンレス鋼の比重
| 成分分類 | 代表鋼種 | 比重 |
|---|---|---|
| 13Cr系 | SUS410 | 7.75 |
| 18Cr系 | SUS430 | 7.70 |
| 18Cr-8Ni系 | SUS304 | 7.93 |
マルテンサイト
鋼を焼入れした時に現れる針状または葉状の非常に硬い組織で、結晶構造は大心立方で鉄に13%のクロム含有させた高炭素13クロムステンレス鋼が代表。
フェライト
ステンレス鋼の構造の一種で、サイコロのような立方体と真中に原子のあるもの(体心立方組織)がフェライトである。18クロムステンレス鋼がその代表鋼種。
オーステナイト
フェライト系に対してオースライト系というものがある。オーステナイトというのは結晶構造の一種で、原子がサイコロの角と面の真中にあるもの(面心立方組織)をいう。ニッケル・クロムステンレス鋼はオーステナイトに属する。最大の特色は非磁性である。
ステンレス技術用語
- 耐食性
ステンレス鋼は大気中においてクロムが11%以上あれば殆ど腐食は発生しないといわれている。実際問題としては、水分、汚れ、異種金属などによって腐食する。
- 腐食
- 点食
1mm前後の腐食孔があき材料に深く腐食が侵入してゆくものである。電気化学的な理由によって腐食は進行するようだが、最初の原因は加工するとき発生した疵が、酸化被膜の一部を剥離させたことによるようだ。 - 粒界腐食
オーステナイト系ステンレス鋼独自のものである。溶接など熱加工を行ったとき温度分布として700度前後の部分が存在するがこの温度の場合ステンレス鋼の中の炭素とクロームとなり18-8ステンレスの18クローム部分は相当低下してしまう。組織としての粒子の間に炭化クロームが析出してくるわけで粒界に割れが発生したり、貫通割れが発生したりする。 - 応力腐食割れ
応力のかかったままの材料に発生する。殆どがオーステナイト系ステンレスに多発し加工や溶接後の歪が残っている場合に特殊な腐食環境(たとえば塩素イオンのある場所)で使用すると割れを起こすことがある。 - 全面腐食
ステンレス鋼にとって全く耐えられない環境におかれた場合、ステンレス鋼は急速に全面的に腐食してしまうことがある。例えば王水とか塩酸のような酸の場合などである。 - 電食
異種金属と接触している場合、ステンレス鋼と異種金属の関係は電池作用を発生させることになり腐食が促進される。
- 点食
- 冷間加工効果
18-8オーステナイトステンレス鋼は冷間で加工すると硬くなりやすい。これは加工歪が生ずることと、冷間加工によって組織の一部が変態して硬いマルテンサイトを生じるからである。そのため多少磁性が発生する。 - 固溶化熱処理
固体物質にほかの元素が溶解して均一な物質になる事を固溶という。オーステナイトステンレス鋼は、450〜800度に加熱されたり冷間加工すると、炭素化合物が析出して機械的性質や耐食性が劣化する。これらの析出物を固溶させるために行う熱処理を固溶化熱処理という。 - 焼鈍
ステンレス鋼を熱間加工、冷間加工、溶接を行った場合、内部組織が本来の組織とは異なってくるので熱処理によって本来の組織に戻すことをいう。オーステナイト系ステンレス鋼では1,100度前後から急冷させることをいう。 - 光輝焼鈍
アルゴンまたは水素のような酸化の少ないガスの中、従って空気を遮断して熱処理を行うと、酸化や浸炭等の現象が起きない。表面肌は熱処理前同様に輝いている。 - 応力除去熱処理
応力腐食を起こす環境(例えば海水)などでオーステナイトステンレス鋼を使用する場合には、加工や溶接後の歪のような残留応力があると割れを生ずるため、鋼種に応じた熱処理をしてこれらの歪などを取り除いておくことをいう。 - 不動態化
ステンレス鋼が優れた耐食性を示すのは地金の表面に薄い酸化被膜が生成し、この酸化被膜によって地金が保護されるからで、このような場合、金属が不動態化したという。 - 引張強さ
材料を引っ張ると降伏点を越えて伸びはじめ、最大の力になり、次第に力が少なくなって、ついに破断する。この最大の力を最初の断面積で除したものが引張強さである。 - 降伏点
物体に力を加えれば歪み、この力を取り除けばもとの状態に戻る。この力の限度を弾性限度といって、これ以上の力をかけると材料が伸びはじめる、この点を降伏点と称している。軟鋼にはこれが明瞭に出るが、ステンレス鋼の場合には明瞭に出ないので実用上0.2%の伸びのところで降伏点と称し、また耐力ともいっている。
さび
ステンレス鋼は、錆びにくい鋼と呼ばれています。
では、なぜ錆びにくいのでしょうか?
実は、ステンレス鋼が錆びないのではなくて、表面にできている酸化被膜(不導体被膜)つまり、一種の錆である薄い膜が安定して変化しないからなのです。酸化被膜とは、金属と酸素などとの化合物で厳密に言えば、金属ではありません。
しかし、緻密で無色透明、しかも地金に固く密着しているため地金とほとんど同じで区別しにくいものは、錆とは呼ばれず錆びないとされています。同じ酸化被膜でも錆と呼ばれるものとそうでない物の区別は、地金の種類によりできた化合物がきれいか、汚いかによるもののようです。
例としては、鉄の赤錆と黒錆があります。
黒錆は、記号に表わすと(Fe3 O4)で酸化被膜として安定しているため固く密着しているので地金の保護をしてくれます。しかし、見た目が綺麗でないので、錆扱いなのでしょう。これに対して赤錆(Fe2 O3)は、一般に言う「錆」の代表のようなものです。外観が見苦しいだけでなく、酸化被膜ではなく鉄の酸化物であるため、化合が進行して最後には本体の鉄をボロボロにしてしまいます。
ステンレス鋼の電解研磨について
1.電解研磨とは
電極に吊るした被研磨材(電解研磨をしたいもの)を電解液(リン酸や硫酸を主体とした混合液)に浸け通電することにより化学的溶解作用により被研磨材の表面凸部を溶解させること。
2.電解による表面の変化
細かな凹凸(μm単位)がなくなる。表面の異物(ごみ、汚れなど)が取れる。
↓
光の反射率が上がり光沢が増す。凹凸が無くなり腐食の原因である汚れがつきにくくなる。
表面の鉄分(Fe)が多く溶け出しクローム(Cr)の割合が高くなる。
↓
Cr質の多い層ができ腐食しにくくなる。
3.電解研磨の特徴と必要性
表面の光沢を出す。耐蝕性を上げる。
↓
製品の付加価値を上げる。
4.その他
電解研磨で溶ける厚さ・・・3〜5μm
電解被膜(不導体被膜)の厚さ・・・5〜40Å



